こんな気になるニュースが話題になっています。
米誌「ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ」は23日、核戦争発生の危険性などを評価し、地球最後の日までの残り時間を概念的に示す「終末時計」の最新時刻を過去最短の100秒と発表した。
https://www.nikkei.com/

100秒てもう終わるやん。
少々意味不明だったので、早速このなぞの終末時計について調査してみました!
『終末時計』について


“終末”という言葉だけでどこか物々しさを感じますが、この終末時計を語るにはどうやら少し歴史を遡る必要があるようです。
終末時計とは?
1945年より第二次世界大戦中の原爆開発計画であるマンハッタン計画に参加したことで、その社会的責任を負い果たさなければならないと認識した科学者らは様々な議論を交わしていました。



計画が成功したことで長崎・広島では多くの犠牲があったよね。
その後1947年に彼らの議論を掲載した『原子力科学者会報』の表紙を、芸術家マーティル・ラングズドーフへ依頼。ここで生み出されたのが終末時計です。
一触即発のバランスの上に立った冷戦の時代を迎えて、核戦争という文明の危機と向かい合ったこれら科学者の切迫した危機感をわかりやすく人々へと伝える必要性を認識し、アナログ時計の針として科学者からの見解を視覚的に訴えるアイデアを考案した。
【出典】wikipedia
つまり地球最後の日までの残りの時間を示すものであり、世界情勢などで現在の地球がどれだけの危機にさらされているのかを時刻で表し危機感を示しているわけですね。
終末時計は4分の1サイズにカットされた形で、0時(終末)まで「あと何分なのか?」と言うのを象徴的に示しています。
コメントには「くだらない!」や「意味ない!」なんて意見も多くありますが、平和ボケの日本人としては危機的状況がどういったものなのか関心を持つべきだろうとも思います。
時刻は誰が決めるの?
終末時計の時刻は前述した科学者たちによる専門誌『原子力科学者会報(Bulletin of the Atomic Scientists)』が毎年発表します。
そして同会報の科学・安全保障委員会 (Science and Security Board) が、ノーベル賞受賞者ら専門家がなどから助言を受けその残り時間を決めています。
核の脅威や地球温暖化の深刻さなど、過去1年の世界情勢に基づいて時刻が決められるそうです。
ちなみに1947年に初めて公表したころは、その時点での世界状況に応じて各方面の専門家の助言を元に決定していました。
『終末時計』これまでの時刻
さて1947年から半世紀以上も続く終末時計ですが、科学者たちの願いも虚しく年々その時刻は短くなっているように思います。過去の時刻と世界情勢の動きをみていきましょう。
2020年はなぜ100秒なのか?
今回は【核戦争発生の危険性などを評価】した結果、過去最短の残り100秒になったそうです。
中距離核ミサイルの全廃条約の失効による核軍縮への不信感や、アメリカとイランの対立の激化、それにアメリカと北朝鮮の核・ミサイル問題についての交渉の停滞や宇宙やサイバースペースを舞台にした新たな軍拡競争の激化などで世界的に軍事的な緊張が高まっているため。
https://www3.nhk.or.jp/news/
これに加え気候変動に対する危機感の指摘もあり、各国の関心が低く効果的な対策がとられていないことも理由の一つとなっています。
年代ごとの時刻の推移
- 1947年【7分前】
創設時 - 1949年【3分前】4分進む
ソビエト連邦が核実験に成功。核兵器開発競争の始まり。 - 1953年【2分前】1分進む
アメリカ合衆国とソ連が水爆実験に成功。 - 1960年【7分前】5分戻る
アメリカとソ連の国交回復。パグウォッシュ会議の開催。 - 1963年【12分前】5分戻る
アメリカとソ連が部分的核実験禁止条約に調印。 - 1968年【7分前】5分進む
フランスと中華人民共和国が核実験に成功。第三次中東戦争、ベトナム戦争、第二次印パ戦争の発生。 - 1969年【10分前】3分戻る
アメリカの上院が核拡散防止条約を批准。 - 1972年【12分前】2分戻る
米ソがSALT IとABM条約を締結。 - 1974年【9分前】3分進む
SALT Iに続く米ソの軍縮交渉難航、両国によるMIRVの配備。インドが最初の「平和的核爆発」に成功。 - 1980年【7分前】2分進む
米ソ間の交渉が停滞。国家主義的な地域紛争。テロリストの脅威が増大する。南北問題。イラン・イラク戦争。 - 1981年【4分前】3分進む
軍拡競争の時代へ。アフガニスタン、ポーランド、南アフリカにおける人権抑圧が問題に。 - 1984年【3分前】1分進む
米ソ間の軍拡競争が激化。 - 1988年【6分前】3分戻る
米ソが中距離核戦力全廃条約を締結。 - 1990年【10分前】4分戻る
東欧の民主化。冷戦の終結。湾岸戦争。 - 1991年【17分前】7分戻る
ソ連崩壊。ユーゴスラビア連邦解体。 - 1995年【14分前】3分進む
ソ連崩壊後もロシアに残る核兵器の不安。 - 1998年【9分前】5分進む
インドとパキスタンが相次いで核兵器の保有を宣言。 - 2002年【7分前】2分進む
前年にアメリカ同時多発テロが起こる。アメリカがABM条約からの脱退を宣言。テロリストによる大量破壊兵器使用の懸念が高まる。 - 2007年【5分前】2分進む
北朝鮮の核実験強行。イランの核開発問題。地球温暖化の更なる進行。 - 2010年【6分前】1分戻る
バラク・オバマ米大統領による核廃絶運動。 - 2012年【5分前】1分進む
核兵器拡散の危険性の増大。福島第一原子力発電所事故を背景とした原子力の安全性への懸念。 - 2015年【3分前】2分進む
気候変動や核軍備競争のため。 - 2016年【3分前】変更なし
核開発に関する包括的な協定を結ぶなど評価があがるも、米ロ間の緊張の高まりや世界的な気温の上昇を懸念。 - 2017年【2分30秒前】30秒進む
ドナルド・トランプ米大統領が核廃絶や気候変動対策に対して消極的な発言。 - 2018年【2分前】30秒進む
北朝鮮が行っている核開発の影響による核戦争への懸念。 - 2019年【2分前】変更なし
核兵器と気候変動による重大な脅威を懸念。 - 2020年【100秒】20秒進む
中距離核戦力全廃条約失効による核軍縮への不信感。アメリカとイラン、アメリカと北朝鮮の対立。宇宙・サイバー空間上などにおける軍拡競争の激化。気候変動に対する各国の関心の低さ。 - 2021年【100秒】変更なし
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の歴史的な蔓延。各国政府、国際機関が核兵器や気候変動という文明を終わらせる真の脅威に対応する準備ができず。 - 2022年【100秒】変更なし
北朝鮮のミサイル発射やウクライナ情勢などによって世界の脅威が増加。核戦争や気候変動などの危険な課題に向けた準備が不十分。新型コロナウイルスのさらなる蔓延と度重なる変異株の出現。気候変動への目標が十分に達成されていない。
出典:Wikipedia
まとめ
終末時計はこんなに歴史があるものだったんですね。見たところソ連が崩壊した1991年の17分前が一番平和に近かづいた瞬間のようです。



時計の4分の1サイズで最大15分だから17分てどうやって表現したんだろ?
意味があるのかないのかについては人それぞれ。これで危機感を認識させられたとか、なにか出来ることをしようと思い立つ人がいれば十分価値はあると思います。
核兵器にしろ環境問題にしろ声を出し続けることが重要です。「どうせなにもできないから」と思ってしまいがちですが、各所で声をあげている人たちの存在を知るとこうして関心が湧くものですね。